現在の研究内容
画像解析による細胞移動の解析
原腸形成期のマウス胚では大きく細胞が運動します。
この運動を通して、エピブラストの陥入や中胚葉の拡大が起こり、三杯葉からなるボディプランが構築されるのです。
ところが、この細胞運動を実際に生体で観察できた例はこれまで知られていませんでした。
この期間の胚は光毒性や胚形状の複雑さなどの問題があり、ライブイメージングが非常に困難なためです。
共同研究者の野中茂紀博士ら(基礎生物学研究所)は、これらの困難を克服するために新たな顕微鏡DSLMを導入し、ライブイメージングに成功しました。
この顕微鏡では深度の高い部位でも高い時間解像度で観察することが可能です。
我々は、得られた4次元画像データに対して3次元での画像解析と統計解析を行うことで、以下のことを明らかにしました。
- interkinetic nuclear migration(INM)がエピブラストで起こっていること
- エピブラストで見られるINMを引き起こす力は近隣細胞から受ける受動的なものではないこと
- 中胚葉を構成する細胞はシート状に移動するのではなく、個々の細胞がばらばらに移動していること
中胚葉細胞核の3次元トラッキング